金ペッグにリニューアルしたロシアルーブル。金価格にどのように影響するのか。
ロシアが、ルーブルを金と商品の両方に紐つけたことで国際貿易と通貨システムに変化が起こっています。
2022年3月25日にロシアは、金1gを5000ルーブルの固定価格にすると提案しました。こうすることで、金が米ドルで取引されていることから、米ドルを基準としたルーブルの底値を金価格で設定したこととなります。
ウクライナ侵攻以前は1ドル=84ルーブルで推移していましたが、侵攻翌日には一気に100ルーブルまで、その後3月7日には143ルーブルまでに変動しました。しかし、固定価格を発表後再び80ルーブル侵攻前の水準まで戻しています。
なぜ80に戻したのでしょうか?
それは金が1グラム62ドル(1トロイオンス1920ドル)ほどで取引されており、5000÷62=約80.5ドルに相当することに市場が反応した結果とみるのが妥当でしょう。
ルーブルが金価格と連動ということは、例えば西欧がたよりっきりのロシアの原油や天然ガスの決済がルーブルのみに限定されルーブル高が続く場合は金価格も上昇することになります。金価格を主導してきたLBMAやCOMEXがペーパー金市場の金価格を下げようとするならば、同時にルーブル安も狙わなかれば問題視されてきた価格操作が露呈することになります。
仮にロシアが正式にコモディティの支払いに直接金で受け入れることになれば、石油価格と金価格が直接連動し金価格は新しい転換点を迎えることとなるでしょう。石油・天然ガス生産国であるサウジアラビア、イラン、中国、UAE、カタールなど、そしてBRICSなどの国々もロシアに続き新しい多国間通貨システムに移行する可能性は高く、その時には米ドル基軸は次第に終焉へ向かうことと思います。
今回、ロシアの外貨準備高が凍結されたことが引き金となりました。ロシアがルーブルを金に連動させたこと。そして石油や天然ガスの決済にルーブルを請求するこの動きは大きなパラダイムシフトととらえるべきです。米ドル以外の通貨による二国間貿易の実現は、米ドル離れを加速、現物金に対する需要の増加により金価格はインパクトある上昇となります。ペーパー金市場の価格が壊れるときは現物銀価格も上昇です。それは金以上かもしれません。
資産の多くを裏付けのない不換紙幣やこれに連動する株や保険などのペーパー資産で持っておことは、現状リスクが高い現実の真っ只中との認識です。もちろん、金ETFなども論外、現物金や銀そしてコインで保有が安心です。