2021年2月ロイヤルミント スリーグレイセス 金貨 銀貨 未鑑定への投資について考察
王位造幣局ロイヤルミントから2021年2月22日に、スリーグレイセスの復刻版が発売になり、発売後間もなく完売となりました。公式発売日から同時に、国内販売価格は高騰してのスタートとなりました。この「高騰した価格で販売開始」に違和感を感じましたので考察してみたいと思います。特に、2オンス金貨にスポットを当ててみたいと思います。
発行枚数が以下のとおりです。
3kg金貨 3枚
2㎏金貨 9枚
1㎏金貨 21枚
5oz金貨 140枚
2oz金貨 335枚 ←ココ(国内販売価格 未鑑定 700万円)
2kg銀貨 50枚
5oz銀貨 510枚
2oz銀貨 3510枚
2021年3月現在、スリーグレイセス2オンス金貨の未鑑定の販売価格がおよそ650万円~700万円で販売となっています。
気になっている点は、この700万円という販売価格で発行枚数335枚を買うパイが日本にあるのかということです。もちろんすべてが日本に来ているわけではないです。しかしながらモダンコインの多くは日本に来ていることは事実であり、このスリーグレイセスも例外ではないとみています。
どうして販売価格が700万円スタートになったのか。それは2019年に発売されたウナライオン復刻版が参考となった思います。2019年にロイヤルミントから発行されたウナとライオン2オンス金貨は、発売当初は約100万円くらいから販売。発行枚数225枚ありましたが、人気のレリーフであり間もなく完売、その後、コインブーム到来と重なり瞬く間に高騰、国内のオークションで未鑑定が約500万円で落札され、そして現在に至り、ウナとライオンは現在1000万円以上であれば売りに出ている状況です。1000万円以上で買い手が多く付いているかというと、そうではなく現状は多く動いていません。
そもそも今回ロイヤルミントから国内コインディーラーへの事前振り分けがなかったという経緯があります。ディーラーは高騰した価格で仕入れするしかすべがなく仕方ないのかもしれません。今後もプロモーションが続きオークションを経てマーケティングされていくと思いますが、海外勢のモダンコインの出口戦略が日本へ向いている可能性も含めた判断が必要かとみています。しかし日本人がせっせと価格を上げていくので海外勢の動きも自然の流れとも言えますし困ったものです。
要するに、今回の700万円という販売価格は、本来投資家の皆様の美味しい部分をスタートからギリギリまで織り込んだ価格であり、投資として700万円で購入した場合、出口に困る可能性があるということです。ここは注意すべき点であるとみています。
また、投資として利益を考えずただただ資産保全として保有するのありという見方もできますが、この点についても慎重になるべきです。それは、発行枚数335枚です。ウナとライオン2オンスは、より低価格で販売になったためブーム前でも225枚が完売になったとみています。今回のスリーグレイセス2オンス金貨は発行枚数335枚で700万円です。偏った計算になりますが販売価格の総額約24億円の買い圧が国内で続くのでしょうか?ウナとライオンにこの計算をあてると総額2億7千万円でした。完売にならず海外に在庫があり、いつでも手に入る状況は想像したくありません。資金に余裕がありコレクションにという方であれば購入して問題ないと思います。
・買ったけど、国内の誰が700万円以上で買ってくれるのか
・希少性は保てるのか
市場の実需要により形成された価格ではなく、ディーラーが形成したギリギリの価格で販売開始となったことに違和感を感じています。批判しているわけではありません。モダンコインへの投資は歴史が短く前例が少ないため皆が手探りの領域です。鑑定に出し早めに出口を検討すれば投資として有りかもしれませんし、このまま上手くいくかもしれません。ただし、投資として購入する以上、出口を考えていただきたいと思い書かせて頂きました。今回の考察は、発売から間もない現状でみた私の主観です。当店でも販売に至るかもしれませんが、以上を踏まえ、最終判断はご自身でよく考察の上自己責任でお願いいたします。
発行元にこだわらないのであれば、英国王室直轄オルダニー発行のPCGS社鑑定済をおすすめします。デザインがロイヤルミント発行と瓜二つであるからです。
2020年 オルダニー スリーグレイセス 5ポンド金貨 プルーフ PR70DC FIRSTSTRIKE PCGS 最高鑑定
2020年 オルダニー スリーグレイセス 5ポンド金貨 MATTE プルーフ PR70 PCGS 最高鑑定
2020年 英国領オルダニー スリーグレイセス 5オンス 25ポンド金貨 プルーフ PR70DCAM FIRSTSTRIKE PCGS 最高鑑定
追記 2021年6月14日
英国王立造幣局ロイヤルミント発行のスリーグレイセス
鑑定を終えたものが2020年4月に開催されたイギリスのオークションで落札されました。結果は以下の通りです。
金貨
2OZ金貨 NGC PF70UC 528万円
2OZ金貨 NGC PF69UC 290万円
銀貨
2OZ銀貨 NGC PF70UC 42万円
2OZ銀貨 NGC PF69UC 22万円
驚愕です。
国内では当時、未鑑定の金貨が650~700万円、銀貨が50~60万円で販売されました。通常、未鑑定と69グレードの価格は近い価格になることが多いため、当時に未鑑定を購入された方には気の毒ですが、現在入手すると半値以下で購入できます。
静観された方は正解でした。
今後は、このオークション価格を参考にご検討いただければリスクを低く抑えた判断ができると思います。ただし、この価格で動かない場合はさらなる下落もあり得ることも念頭にお願いします。とはいえ、安売りされるような品物ではないので、万一これ以上に下がる場合は積極的に入手されるのはありとみています。