芸術性と歴史的背景
本メダルは、1642年にオランダで発行された 「プリンセス・メアリー到来記念大判銀メダル」 です。イングランド王チャールズ1世の娘 メアリー王女 が、オラニエ家の ウィレム2世 に嫁ぎ、オランダへ迎え入れられた出来事を記念して鋳造されました。直径約73mm・重量約109g に及ぶ堂々たるサイズは、当時の祝祭性と国威を示しています。
表面（オブヴァース）
中央にはオラニエ家の総督 フレデリック・ヘンドリック が描かれ、周囲には軍旗や武具が並びます。背景に帆船や港湾が表現され、オランダの軍事的勝利と繁栄を象徴します。銘文「LIBERTAS PATRIAE TRIUMPHAT（祖国の自由は勝利する）」が彫られ、共和国の精神を誇示しています。
裏面（リバース）
庭園様式の門前で、若き ウィレム2世 が花嫁 メアリー王女 を迎える場面が描かれています。門上にはオランダの象徴 ベルギック・ライオン が配され、ネーデルラント共和国全体での歓迎を表現。銘文には婚姻・繁栄を意味する言葉が刻まれています。
歴史的意義
このメダルは、イングランドとオランダの王家を結ぶ婚姻同盟を祝し、両国の結束と未来への繁栄を象徴するプロパガンダ的役割を持っていました。当時のヨーロッパの外交的緊張の中で制作された本作は、政治・芸術・王室史が交差する歴史の証 と言えます。
鑑定・状態
本品は NGC MS62 の高評価を獲得しており、400年以上の時を経た大判銀メダルとしては非常に良好な保存状態です。大面積の銀地を彩るトーンや打刻の力強さは、17世紀オランダの彫刻技術の高さを今に伝えます。
コレクション価値
大判銀メダルは流通量が少なく、特に高グレードのものは市場での流通が極めて限定的です。英国王室とオランダ史を結ぶ象徴的な品として、ヨーロッパ王室コレクション、または歴史的芸術メダルを志向する蒐集家にとって必携の一枚といえます。
発行年：1642年
発行国：オランダ（ネーデルラント連邦共和国、ホラント州と推定）
題材：プリンセス・メアリー（イングランド王女）のオランダ到来記念
カタログ番号：MI-290/105, Van Loon II 257
材質：銀（Silver）
直径：約 73 mm
重量：約 108.9 g
NGC鑑定：MS62
鑑定番号：8220553-001
https://www.ngccoin.com/certlookup/8220553-001/62/
海外ディーラー共有在庫
